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ある日、突然

diary

いつもと変わらない日常。

いつもと同じようにご飯を食べて、本のページをめくる。

そんな当たり前な日々がずっと続きそうだと錯覚しそうになる。

突然、夢から叩き起こされるように携帯の着信が鳴り響く。

何が起こったのかを理解するまでに数秒、いや数分の時間を要した。

おじいちゃんが救急車で運ばれたのだ。

どうして?無事だよね?意識がない?聞きたいことが頭の中で溢れ返す。

急いで服を着替え、家の鍵をかけた。

「落ち着け、冷静に、安全運転で。」

心の中で、そう問いかけた。

病院のベッドで静かに眠りについている姿を見たときは、まるで何事もなかったかのように思えた。

そうであればどれほど良いか。

状況などを聞くにつれ、事態の深刻さを思い知らされていく。

あまりにも突然で、漫画の一コマのように時がトントンと流れていく。

涙が出る気配はない。

それは残酷なのではなく、現実逃避しようとしているのかもしれない。

考えることを放棄すればこれ以上悲しくはならない。

しかし、深く考えれば考えるほど思い出がフラッシュバックして鮮明に蘇る。

最後に会話をしたのはいつだっただろうか。

もっとたくさん会いに行って話せばよかった。

自分の事しか考えていない自分自身が嫌になりそうだ。

1人きりになると、いろいろ考えてしまう。

僕の中で失われたと思っていた感情が突然込み上げてくる。

意識不明な状態だと、会話は成り立たない。

それでも一方的にこちらから話しかける。

どうか、僕たちの声が届いていますようにと願いを込めて。

首から上にはぬくもりがあるのに、身体はすでに冷え切っている。

精一杯、酸素を吸い込み身体に送る。

お医者さんからも、もう長くはもたないと宣告された。

人はいつか死ぬ。

生まれたら必ずその時期はやってくるのだ。

その限られた時間の中でどう生きていくのか。

大切な人との過ごし方やその温かさを心に刻もう。

一分一秒も無駄にしてはならない。

後悔しない為に。

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